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noriko tanaka

田中乃理子
1979年生まれ 三重県在住 1997年よりやまなみ工房所属
彼女は養護学校を卒業し、やまなみ工房に入所した。以来、布工房に所属し縫い作品に取り組んでいる。
赤、青、ピンク、黄、紫…。
数ある色の中から無くてはならない五色を選び、一筋ごとに色を変え、隣に沿わせて丁寧に縫う。
目の揃った緻密な縫いは、月日をかけ布の端から端へと帯状に広がりやがて面となる。
縫い目には留めがなく、ただまっすぐに縫っている様にも見えるが、
良く見ると縫い始めは一度返し縫いをし、
作業中に引っ張っても抜けないようにと彼女なりの工夫が施されている。
彼女はある特定の支援員に好意を抱いており、
就業時間の近づいた15時頃、二人分のお茶を用意し、
刺し子の進み具合を報告する事を日課としている。
彼女が創作へ向かうための原動力はいたってシンプルで、好きな人に褒めてもらうということ。
そのまっすぐな想いは布へと向かい、ひとたび作業に集中すると、ただひたすらに黙々と針を進めていく。
通所して15年間、決して器用ではないその手は彼女の人生の記録を、日々縫い留めている。

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