幸せに向かう表現展vol.2について
表現が生まれる場所ってどんなところだろう。
はじめて、やまなみ工房の作家の作品をある展覧会で見た際、その作品が放つパワーに目を奪われて思ったことです。
その後に訪れたやまなみ工房で目にしたのは、「ふだんの くらしの しあわせ」そのものが広がる光景でした。社会福祉協議会は時に「福祉」のことをひらがなの「ふくし」に言い換え、「ふだんの くらしの しあわせ」と説明をします。やまなみ工房は、一人ひとりが自分らしくいられる場所、その“いとなみ”が感じられる空気に包まれる場所でした。
人と人とのつながりが幸せに欠かせないものだとしたら、目の前に広がっていたのは、スタッフの方と作家の方がつむぐ幸せな関係性そのもの。展覧会で目にした作品が、この素敵な場所を巡り合わせてくれたのです。
そうして、魅力的な作品はもちろんのこと、作品の奥にある“いとなみ”を伝えたいと、2019年に今回の展覧会の会場でもある新潟市民芸術文化会館りゅーとぴあで『幸せに向かう表現展～やまなみ工房のアーティストたち～』を開催しました。今回、『幸せに向かう表現展vol.2-表現と昇華-』と題し、再びこのりゅーとぴあを舞台に展覧会を開催する運びとなりました。
2回目となる展覧会の会場を彩るのは、やまなみ工房(滋賀県)とさんろーど(新潟市)の魅力的な作品の数々です。この展覧会という取り組みは、「障がい者福祉なのか」、「多様性の理解のためなのか」、「地域共生社会実現の一助なのか」、そういった文脈よりも、目の前にある作品をただ見つめていただけたらと思います。
「幸せ」という言葉は、日本語の「し合わす」が語源だとされていて、「巡り合わせ」という意味だと言われています。展示されている表現の数々との巡り合いで、感じたこと、考えたことが、それぞれの幸せに向かう彩りの一つになれば主催者としてこれ以上嬉しいことはありません。